2007年4月の記事

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ベルナルダ・デ・ウトレーラ

April 16,2007 07:02 AM

好きなんです、大好きなんです!ベルナルダのことが!!。鉄火肌で、でもなんだかいつも切なくて。

不世出の天才カンタオーラ、姉のフェルナンダ(1923-2006)と共に1950年代から今に至るまで、常に第一線でカンテ・ヒターノの精髄を守り続けてきたベルナルダ。
ソレアの化身とまで称された、姉フェルナンダはもちろん最高。彼女に何度も殺されましたが、個人的にはベルナルダはカンタオーラの中でも一番!好きなのです。

さて昨日、ギタリスト、ペドロ・バカン(1951-1996)に捧げる無料コンサートがありました。場所は2005年に私たちも公演させてもらった、レブリーハのファン・ベルナベ劇場。イネス・バカン、ペパ・デ・ベニート、コンチャ・バルガス、カルメン・レデスマ等々、ヒターノ一族の中でも名門中の名門、ファミリア・デ・ピニーニの錚々たるメンバーが揃い踏み。ヘレスからもこの間の発表会で歌ってもらったルイス・モネオ、さすらいの元サッカー選手でブレリアの名手、ディエギート・デ・ラ・マルガラ(カルロス・サウラの映画「フラメンコ」でパケーラの豪歌を受けてなおサラサラ踊っているあの人!)が参加。
内容は気心知れたファミリアと仲間たちによる、打ち合わせ一切無しの即興コンサート。素晴らしすぎてゲラゲラ大爆笑。

そしてそれが終わってからの打ち上げに、知り合いのつてで連れていってもらいました。
そこになんと!公演を見に来ていたベルナルダが来たのであります!そして、食事のあとフィエスタになって、歌ったのであります!!それも歌いまくりだったのであります!!!。(冷静に冷静に)

初めて生で見て、彼女に向かって本当に手を合わせて拝んでしまいました。誰かそれを見てクスクス笑っていました。普段どんなフラメンコのスーパースターに会ってもそんな興奮したり、ミーハーになったりしないのに。もう80歳にもなるベルナルダに完全にノックアウト。情緒不安定。

ファミリアといっても普段別々に、多忙に活躍しているアーティスト同士。なかなか集まれる機会がなく、本当に久しぶりだと言っていました。それもあってか異様に盛り上がり、みんなコンサートの何十倍も歌いまくり。ソレア、ブレリア、ファンダンゴ・ポル・ソレアetc...。そして誰よりも一番歌っていたのがベルナルダ。去年姉を亡くしたばかり。その思いをブレリアに乗せて歌う。

「しばしの沈黙を!偉大な歌を失った。フェルナンダ、フェルナンダ、もう誰もあなたのように歌う人はいない!」

涙があふれて歌い切れないベルナルダ。一同号泣。ペパ・デ・ベニートはたまらず飲んでいたお酒を自分の頭にブッかけて敬意を表し、泣き崩れていた。仰天感動。

こんなときに、どうしても一緒にホッペをピタッとくっつけて写真を取りたくなってしまった。どうにも抑えられない爆発的欲求。しかし、「写真一緒に取ってくださーい☆」なんて知り合いでもないアーティストに向かって今まで一度も言ったこともないのに、ましてやこんな感動的なひと時に場違いもいいところ。でもでもでもどうしても一緒に写真とりたかったの!

そんなときちょっとした休憩があり、ベルナルダがトイレに行った!その隙を私が逃すはずもなく、お付のおば様に「写真トットッ取りたいのデッデッですけれど。」って言ったら、「トイレの中はダメよ(笑)」なんて言われながら扉の前でドキドキ待機。出て来たところをキャッチ。お願いしたら快く引き受けてくれて、一緒にパチリッ。ヤッター!!!

と狂喜しているところにひとりのオヤジがやって来て、「お前さんは死ぬときに今日の感動の“思い出”を持って行くのか?それとも“写真”を持って行くのか?」と聞かれた。・・・。言われてしまった!最も恐れていたことを言われてしまった!愚の骨頂だってことはわかっていた。

天国と地獄。

セマナ・サンタ

April 11,2007 07:06 AM

只今、ヘレスにいます。
先週、1週間行われていた。セマナ・サンタ(聖週間)を見ていました。

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セマナ・サンタとはキリスト教(カトリック)国であるスペインのもっとも重要なお祭り、というよりも宗教儀式です。イエス・キリスト受難の物語を、各場面ごとに上の写真のようにパソ(神輿)をつくり、日ごとに町中にある教会(ヘレスでは30以上)から繰り出します。1000キロから2000キロあるパソを30~40人で担いで、約半日!町中を練り歩きます。この中で時に死者も出るほどの重労働。このパソを中心として、これまた最高に悲壮な曲を奏でる音楽隊と受難者に扮したナサレーノが列を成します。

三角の長い帽子をかぶっているのがナサレーノ。

これに信者と見物客が加わりごった返します。信心深い人は裸足でこの後をずっと同行します。
私の友人もパソを担ぐコスタレロをやっている人がいて、「死ぬほど疲れるけどこれ以上の誇りはない!」と熱く語っていました。

プレンディミエント

上の写真はヘレスのフラメンコ2大地域、泣く子も黙るサンティアゴの通称「プレンディ」。このパソが出てきたとき、「オレー!グアポ!」の掛け声をブレリアのコンパスに乗せて叫んでいました。恐るべしサンティアゴ。

「アモール・イ・サクリフィシオ」

このパソは私の一番のお気に入り。過美でなく非常にシンプルなマリア様で、凛とした美しさがある。そしてこのアンダルシアの太陽に燦々と照らされると、その悲しみがシーンと胸の奥底に迫ってくる。夜に見たほうが神秘的かつ悲愴的なのに不思議だ。わが照明家の巨匠、井上正美氏が「クライマックスほど素明かりに近い照明で勝負したい!」とやさしくおそろしくおっしゃっていたのを思い出した。深い。

さて、キリスト教でもなく無宗教の私にとっては傍から見物するのもはばかれる様な厳粛な瞬間があります。特に「サエタ」(セマナ・サンタのときに歌われる宗教歌)が歌われるとき。

マリア像に向かってバルコニーから紳士がサエタを歌っているところ。

このときばかりはベチャクチャしゃべりくり倒しているスペイン人たち(失礼!)も歌が始まったとたん「シー、シー」と言い合い静まり返る。楽隊も鳴り止み、パソが歌を聴くため立ち止まる。静寂。そして「ア~イ」。一節歌い終わったところで「オレー!」。涙、涙、涙。私も「ガガガ、ギギギ、グググ」と込み上げてくる熱情を抑えきれない。

アンダルシアの宗教歌であるこの「サエタ」。純然たるフラメンコのカンテではないけれど、私にはカンテにしか聴こえない。特にこうしたフラメンコ色の強い地域のものは当然そうなる。
カンテを至上のアルテと信じるわたしにとって、このシチュエーションで聴く、いや体感する「サエタ」は・・・。とても私の拙い文章力では表現できません。
ぜひこのセマナ・サンタ、もし未見でしたら一度は体験してみください。

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