アントニオ・デ・ラ・マレーナ。
私がフラメンコを始めた頃から大ファンで、いつか歌ってもらいたいと想い続け、その願いが叶ったのが2000年の小島章司先生の舞台でした。
そこで意気投合し、それから10年以上アルテ・イ・ソレラの歴史は彼と共にありました。
舞踊化されていなかったファンダンゴ・ポル・ソレアや、完全な形式でのセラーナ、コリードなど当時では歌われることさえ稀だったカンテを舞踊化し、ヘレスやレブリーハの劇場で公演できたのは彼のお陰です。
そんな蜜月は彼の持病によって終わりを告げてしまいました。
右手をもがれた様な、痛すぎる別れを忘れるために活動の方向転換を余儀なくされる程でした。
また彼同様、心から敬愛していたアントニオ・ガデス舞踊団を支えてきた歌い手、ゴメス・デ・ヘレスやマノロ・セビージャたちも高齢になり来日が難しくなり、一緒に活動できなくなったのもその頃です。
古き良き時代を生きたフラメンコたちの咆哮は今でも胸に響いています。
話はそれますが、その頃の映像がパセオフラメンコから発売されていました。
最近うちの「中の人(矢野吉峰)」がYouTubeにアップしてくれていますので、ぜひご覧ください。
先述の3人の歌い手と共に鍵田真由美がフラメンコ教則ビデオとして解説、デモンストレーションを行っています。
あの今は亡き偉大なギタリスト、ラモン・アマドールも弾いています。
「フラメンコギターかくあるべし」を体現するラモンのギターを聴くだけでも価値があります。
カンテ、ギターはもちろんのこと、パルマの質感、ハレオの粋も黄金のタブラオ時代そのものです。
さて、仕事としては一度お別れをしたアントニオですが、ヘレスにいる時はもちろん会っていました。
スペインでは一緒にできるとはわかっていても、もうあの素晴らしいカンテを味わいたくないという思いが続いていましたが、やはりその魅力に抗えず近年ヘレスで彼との共演を重ねるようになってしまいました。
久しぶりに身体で受け止める彼のカンテは、歳を重ねさらに熟成していて、激唱の中に深い沈黙が在り、踊る気が失せるほどでした。
立ち尽くしながら、ああ、これがパラール(停止する)、アグアンタール(我慢する)の踊り方(フラメンコの踊りにおいて、「踊らないで踊る」これが最も難しい)か、と彼の超熟カンテに教わりました。
そして、昨年トレド公演を経て、今回のマドリード。
本番前日、七転八倒の最中に呼び止められ「オレに5分でいいから話す時間をくれないか」と言われました。
「お前は全てを抱えてるのはわかっている。そりゃ集中できないさ。
だけどオレとのひとときは全てを忘れて、オレのカンテを聴いてくれ。存分に味わって楽しんでくれ」。
雑用に追われどこか気もそぞろに踊っていた私は、この言葉で憑き物が落ち、彼と最高のフラメンコを生きることができました。
¡Viva los callos reales!
写真:(c)Madrid Destino/Fernando Tribiño
🔶出演
#鍵田真由美
#佐藤浩希
鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団
(#工藤朋子、#柏麻美子、#東陽子、#小西みと、#中里眞央、#小野寺麻佑、#山﨑嬉星、#辻めぐみ、#三四郎、#中根信由)
客演:#権弓美、#川松冬花、#荒濱早絵、#矢野吉峰
#中村光(歌舞伎俳優)
#中島千絵(ピアノ・ヴォーカル)
#浅野祥(津軽三味線)
#斎藤誠(ギター)
#山﨑徹(附け打ち)
Antonio de la Malena(Cante/カンテ)
Ana de los Reyes(Cante/カンテ)
Antonio Malena hijo(Guitarra/ギター)
Ale de Gitanería(Percusión/パーカッション)
🔶特別出演
#中村壱太郎(歌舞伎俳優)
🟥国際交流基金サイト
日本語 https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/perform/oversea/2024/07-03.html
英語 https://www.jpf.go.jp/e/project/culture/perform/oversea/2024/07-03.html
🟥Veranos de la Villa公式サイト
🟥国際交流基金マドリード事務所の公式サイト
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