「今回の作品、セリフもあるんですよね」
「え、それオレもやって大怪我したから甘く見ない方がいいよ、絶対演技のプロに習って」
なんて先日ヘレスで交わした会話は杞憂に終わった。
表現者工房プロデュース『循環』
宝塚歌劇団の生田大和先生演出作品「ドン・ジュアン」で振付家として一緒に汗水垂らした大石裕香先生と工藤朋子の2人だけの舞台。
ミニマムな空間でミニマムな出演者。
大石先生はハンブルク・バレエ団でダンサー、振付家として活躍され、ベジャール舞踊団やセルゲイ・ポルーニンの振付も手がけ世界的に活躍されている凄いお方。
普段は気さくでベラベラ喋る関西人(ごめんなさい)なのだが、クリエーションの時になるとその佇まいは寡黙な詩人のようで、その振りの流麗さにいつもうっとりさせられる。
さて開演。
すぐに胸が熱くなった。
それはきっと仕事の同志と愛弟子の舞台だからそう感じているのかと思いきや、全くそうではなかった。
少しどころではないセリフを言いながら、物語を紡いでいく2人は魔女、犯罪者、母、子ども、木、原子...、森羅万象全てを演じ踊った。
それは宇宙の詩であった。
サリngROCKさんの脚本、演出も見事だった。
宇宙に存在する全てに意味があり、それは一体なんだと言う、私も舞台を通して伝えたい最も大事にしていることを描いていて、深い共感と感動をもらった。今度脚本書いてもらいたい。
大石先生は身体表現者として超一流の上、セリフ、演技も上手いと来たら向かうところ敵なし。
最後に歌ったあれはいったいなんの歌だったのか。
カンテ?
宇宙の叫び?
工藤朋子は私の知る彼女ではなかった。
完全に化けていた。
私の助手として宝塚に来て大石先生と仲良くなって、いい仕事しやがってコンチクショーと内心思っている反面、天晴れと言わざるを得ない。(なんて卑小な師匠なんだ)。
東京公演絶対やって欲しい。
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