2007年11月の記事

hiroblog

¡FIESTA!

November 29,2007 01:13 PM

この間共演した歌い手アナ・デ・ロ・レジェの家族との食事会に招かれ、彼女のお兄さんのお宅にお邪魔しました。

左がアナ、右は妹の歌い手“チキ”(真ん中は押しつぶされそうな私)

そのお兄さんはあの有名なフラメンコ・ポップ・グループ「ナバヒータ・プラテア」のボーカリスト、エル・ペレ。(どフラメンコのカンタオール、エル・ペレとは同名異人)

エル・ペレと一緒に。後ろに見えるのはヘレスの大聖堂

ヘレスの町が一望できる屋上で昼食会。
エル・ペレの奥様は踊り手のマリア・ベルムデス。なんと二人とも日本食が大好物!それも筋金入り。醤油、ワサビは常備品。

マグロの刺身!をつくるエル・ペレ

小さい頃、魚屋さんだった親父さんの手伝いをしながら生の魚をつまみ食いしていたそう。(ちなみにスペイン人は生で魚を食べる習慣がありません)
このエル・ペレ、ヘレスの出世頭、コマーシャルで何曲も使用されているほど。それなのに両親に会うと「今度の新作イイネ~、ってところでいつ魚屋始めるんだ?そんなフラメンコばっかりやってないで仕事しなさい!」といまだに言われてしまうそうです。「昔はどんなマエストロも、フラメンコだけでは食べていけなかった時代を知ってる両親だからね~」と嘆いてました。

さて、そのお母さん、プロではないが大変な歌上手。
食事が終わった頃、子供たちからせがまれる。
「だめだよ~。今はもう歌ったら入れ歯がアッチャの方にいっちゃうから!」
「少しでいいからさ~」と催促する子供たち。
「しょうがないね~」
「アイ、アイ、ア~イ~」
「アイ、アイ、ア~イ~・・・」
「アイ、アイア~ダメダ、出てこない・・・。」
久しぶりに歌うので歌詞を忘れてしまったお母さん。
子供たちが一節「プレスメ~」と促すと流麗に歌い出す。

興に乗って踊りだす。バモ~!

子供たちは自分たちを歌いとして育ててくれたその歌に、まるで乳飲み子のような顔をして聴き入る。普段は半ヤクザみたいな顔をしているのに。
こうなるともう止まらない。子供たちも歌い始め何時間も続く。夕方になったので「中で仕切りなおそうぜ!」と暴走母さん。

ギター弾いているのはノリノリギターリスト、アントニオ・ヘロ。以前紹介したあの稀代のフェステーロ、マノリート・ヘロの息子でぺリキンの弟。

マノリート・ヘロ(これぞフラメンコのキメポーズ!)

これからうちのスタジオのキメは全部これにしますのであしからず。
彼にこのお父様の真似をして歌い踊ったら「ギャ~!」と抱きつかれました。

もう本当に何時間も続くフィエスタ。途中子供たちは疲れてソファーにもたれ談笑。でもお母さんだけはいつも椅子にシャキンと座り、間が空くと「つまらないやつらだね~、早く歌えよ、コラ!じゃなきゃアタシャ帰る!」と半ば脅しにかかる。
前にもあるフィエスタで、お爺さんから、歌い踊らない家族に一喝。「それでもヒターノか!」
「昔はしょっちゅうフィエスタだった。」とか「貧しくてテレビも食い物も無く、フィエスタしかなかった。」とよく耳にします。
昔のアーティストの濃厚さはやはりこうした背景があるのでしょうか?このお母さんのように何よりもフラメンコに「飢えていた」のでしょうね。

*皆さんの了承を得て写真掲載しております。

アントニオ・マレーナ カンテ・リサイタル

November 20,2007 03:41 AM

この間、ヘレスから車で20分ぐらいのところにあるトレブヘナという小さな町で行われた、われらが盟友アントニオ・マレーナのカンテ・リサイタルを聴きにいきました。開催場所はペーニャ・ラ・トリージャ

ペーニャ・ラ・トリージャ 写っているのはアントニオの息子でギターのマレーナ・イーホ

始まる前にペーニャの人が、「ここの人たちはヘレスみたいにハレオをあまり掛けたりせず、静かに聴く人たちだから心配しないでね。」と言っていました。
確かに始まってみるとシーンと聞き入っている人々。でもよく観察すると、目をつぶってウンウンうなづきながら聴き入り、涙をホロッと流していたり、一緒に口ずさんでいたりと、カンテへの愛情がシンシンと伝わってくる様子でした。
確かにヘレスの観客はもっと直情的で「オレ!ビバ・トゥ・マレ・ケ・テ・パリオ!」、「ケ・アルテ・ティエネ・イーホ!」、「ビバ・トゥ・コホネ!」などなど矢継ぎ早に飛んできます。これがまた絶妙なところに掛かるもんだから、アーティストは気持ちよく歌えるし、踊れるし、弾けるのです。
私もヘレスで踊った時、自分の踊りのペジスコと、観客のハレオで会話している快感が味わえました。ステージで踊りを提供する、表現する、といった次元からは遠く、まさにフラメンコを共有する時間が生まれます。そこは観客、アーティストの壁が取っ払われ,まさに一体となれる空間です。
話を元に戻すと、こんなにヘレスの近くで、レブリーハにも近い場所で観客の聴き方が違うのかとちょっとビックリしました。

ふたり熱演中

アントニオは、今ではあまり歌う人の少くなったセラーナを歌ったり、あまりヘレス人らしからぬレトラを取り上げ、最後はスタンディング・オベーションを受け盛会に終了。終わってから楽屋でも、「イヤー、レコードでしか聴いたことのない曲を初めて生で聴けたよ、ヨガッタ、ヨガッタ!!」、「珍しい歌を歌うもんだね~アンタ、いやでも涙でぃた!」と大好評でした。

珍しい写真をたくさん発見。

エル・チョサ&ペドロ・ペーニャ

巨獣ふたり

ロシオ・フラード

November 8,2007 07:38 PM

今スペインにいます。
この間9月の公演で取り上げた、スペイン歌謡界の女王ロシオ・フラードの生地チピオナにお礼参りに行ってきました。

チピオナの海に立つロシオ・フラードの銅像

家も見に行ったのですが、その白い壁は彼女が亡くなるときにファンが押しかけ書いた寄せ書きで埋め尽くされていました。

昨年6月、逝去されるときちょうどスペインにいて、連日報道されるテレビを見ていました。私も昔から大ファンだったのでショックでした。

なくなる約半年前に大手術後に行った最後のコンサートを収録したCD&DVD。

病後とは思えない絶唱です。スペイン人なら誰でも知っている、と言っていいぐらい名曲の数々。フェルナンダ・イ・ベルナルダ姉妹もよく彼女の曲をブレリアにのせて歌ってました。アントニオ・カナーレスもゲストで出演しています。

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