そもそも今回のスペイン行きの1番の目的は銀行口座凍結を解除させるためだった。
日本から電話で何度も問い合わせしたが全く埒があかず、家の管理費、水道電気等の支払いが滞って遂に催促の連絡が来たので行くしかなかった。
到着初日、マドリードのホテル向かいに因縁の銀行発見。駆け込んだ。
珍しくお約束の長蛇の列がなかった。ラッキー！
ところが私の前のおじさんの段になり、窓口のおねえさんと口論が始まった。
暗雲立ち込める。
30分しっかり喧嘩。
窓口のおねえさん、頭からモウモウと煙が上がっている。
恐る恐る事情を説明して、鼻息荒かったが凍結解除の手続きをしてくれた。
翌日には解除されると。
ホッと胸を撫で下ろし、いざヘレスへ。
しかし次の日も、また次の日になっても一向に解除されない。
ギタリストの親友、アントニオに事情を説明したら、「喧嘩の後の対応？そりゃあかんわ。一緒に直接銀行行ったる」と。
翌朝銀行待ち合わせ。
受付番号を受け取り、いよいよ直接対決を待つ。
その間3年ぶりに会えた喜びに話が弾むが、掲示板に出る呼び出し番号を見逃して、倍待たされる始末。
口座を開いたヘレス支店だったから、さすがにきちんと対応してくれた。
翌日。解除されてない。
再びアントニオと銀行へ。
再度談笑受付番号見逃し倍待ち。
翌日。全く同じ行程。
銀行の人も誰も全く原因がわからなかったが、やっと4日かかって解除された。
ずっと付き合ってくれた親友へお礼のディナー。
待ちわびた喜びの日、アントニオから「おら濃厚接触者になっちまった」と。
絶対大丈夫だけど、数日後に帰国しなくちゃ行けない私を心配してくれてやめておこうと。
ここまで災難が続くとなんだかドラクエの主人公になった気分でめちゃくちゃ楽しくなって来る。
数日後アントニオから抗原検査陰性の写真が送られてきた。
飲みに行きたいからわざわざ検査したと。
「ヒロ❗️飲み行けっぞ‼️バモー‼️」
その日はこっちが帰国の途につく日だった。
ツイテナイ。
PCR検査の為マドリードへ。
毎日鯖缶食べて鯖になっていたので、せめて美味しいものでもと、鳥の丸焼きの名店「カサ・ミンゴ」へ初訪店。
1888年創業の老舗の味が労ってくれている様で、なんだかジーンと来てしまった。
何よりもシンプルな味付け(たぶん塩だけ)に感動。
ヘレスにも名店がありよく食べるが、そちらはスパイス、ハーブ、塩がガツンと効いた強烈な味付け。
いよいよ帰国日、とりあえず今回のミッションは全て終えてホッと一息ついていた。
結構な額のユーロが手元にあった。日本に持ち帰っても仕方ないので、マドリード、いやスペインのど真ん中、観光名所でも有名なソル広場の銀行のATMへ入金した。
通帳見たら記載が無い。
何度も機械に入れたが一向に記載されない。
10年前の悪夢が蘇った。
ヘレスでも全く同じ目に会い、その時はアントニオの父ちゃん、歌い手のアントニオ(ややこしい)に横山やすしよろしく「どないやっちゅうねん❗️これしかし正味の話し、どないやっちゅうねん❗️」と銀行に詰め寄ってもらいすぐに事なきを得たが、今回は多勢に無勢。
「ATMは私たち行員ではなく専門の係の者でないと開けられません」の一点張り。
「こちとらこれから空港だ、お願いだからお金返して」とあがいたが孤軍奮闘虚しく、タイムアウト。
最後にこんな災難が降ってくるとは。
「明日開けるからすぐに振り込まれますよ」
もう何も信じられない。
喪心の帰路。
帰国後毎日日本から電話して、やっと4日後に振り込まれた。
いやはや私にとってなかなか体験できないことをさせてくれたスペイン。
やっぱり大好き❤
